⑫人による危険もある


発災後の数日間は、避難者や救出などの人に対する活動が主となり、街への目が希薄になります。

 

阪神の時も、自販機から小銭を盗む族が居たかと思えば、更に、その品物を盗んで行く者まで発生しています。

これはまだ可愛い方でしょうが、規模が大きくなる可能性もある事も、頭のスミに置いておきましょう。

 

規模が大きくなると、「略奪」や「暴徒」といった行為へとつながり、また、救援措置への不満や、生きる望みを失った不安など、募る思いを爆発させ、集団過剰行為となる「暴動」へと移る可能性も秘めています。

 

【ここが大穴】

避難行動→避難生活(元の所に戻れない)が長引けば、自所はもちろん、町自体が人気も無く、現金自動支払機を狙う族、店鋪の商品、家屋から液晶テレビなどの金目の物を盗んで行く族、災害廃棄物となった、自動車などの金属盗といった、発災当日では誰が被災者?が見えない事もあって、警戒も効かない期間が発生します。

 

「阪神淡路大震災」以後には、管区警察局単位で警備隊を送り込む事になっていますが、到着までの間はどのように警戒すれば良いのか?も問題です。

 

確かに、自警組織は早い段階から必要だと思っているのですが、果たして、この方面にボラを充当するのか?と少々、不安のある要素ですね。

地元人以外での警戒活動にも「穴」があります。

地元人の顔がわからない事で、最終的には暗黙してしまう事になってしまうのです。

 

ボラ活中、略奪と居合わせてしまうと、ボラにも嫌疑がかかる可能性もあります。

ここでも「自分の身は自分で守る!」を頭におき、アナタは何者?をクリアしておきましょう。

 

できれば、公と警備会社との災害時交通・治安維持協定を結んでおくと初動がきくかと思いますね。(前項:公との連携 参照)

 

ちなみに、紛争・戦争にはボランティアは必要ありません。

この場合は被害の復興からにしましょう。

☆2010年3月 読売新聞より抜粋させて頂きました。


宮城、震災後の窃盗被害1億円…被災地で多発

 産経ニュース 2011/03/30 11:53更新

 

宮城県警は30日、東日本大震災が発生した今月11~26日の15日間に、県内で発生した窃盗事件の被害総額が約1億円に上ることを明らかにした。津波で損壊した同県気仙沼市の信用金庫から約4千万円が盗まれたほか、物資不足の影響とみられる食料品やガソリンなどの盗難が目立っている。

 

県警によると、窃盗事件の認知件数は、前年同期を約100件上回る約290件。このうち閉店中のコンビニエンスストアなどから商品を盗む「出店荒らし」が約60件増の約80件、ガソリン盗などが約40件増の約120件と大幅に増えた。被害額の内訳は現金約7500万円、食料品や衣類、貴金属などが2500万円相当。

 

被害は津波被害の大きい仙台市東部や多賀城市、石巻市などに集中し、被災者が避難して無人となった民家や店舗を狙った犯行とみられる。摘発は25件で40人に止まっている。

 

県警は「震災直後の数日間に発生した事件が多く、現在は沈静化している」としている。

 

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現金、食料品…宮城県内の窃盗40件に

東京で「ガソリン盗」多発…未遂も含め… など、東日本では停電を見越しての盗犯事案も増える可能性がある。警察職員も交通整理や被災地派遣等で手薄となる。

 

これらは発災時から問題を抱える事となり、さらには、危険区域の自宅にも近寄る事が出来ないなど、目を通せないことで、盗犯にとっては環境が良くなってしまう。また、廃棄物盗も発生する恐れがある。俗に言う金属盗である。


避難区域の安全守れ 福島県警が300人の特別警備隊を発足

 産経新聞 6月3日(金)7時56分配信

 

東京電力福島第1原発の事故により計画的避難区域などに指定された地域への警戒態勢を強化しようと県警は2日、「特別警備隊」を発足した。

同隊は関係市町村や防犯ボランティアと連携し、無人となった地区などの治安維持を図る。

 

特別警備隊は、葛尾(かつらお)村を活動拠点とし、県警のほか、1都4県の警察官300人が24時間体制で活動を行う。県警は大震災以降、警戒区域などでパトロールを実施してきたが、先月、計画的避難区域などが指定されたことで、複数の市町村で住民避難が本格化、パトロール体制の増強が望まれていた。

 

同日、葛尾村活性化センターで行われた出動式には隊員や車両約70台が集結。松本光弘本部長は隊員へ「被災地を狙う卑劣な犯罪の抑止と検挙のため、地域の住民の方々と連携しながら全力を尽くしてほしい」と激励した。

 

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警戒活動するなら、24時間機能する事を考慮し、ドライブカメラなどを搭載した車両を配備すると良いかも知れません。

本来の設置型防犯カメラとなると、本体の大きさや照明、電源の問題もあり、ドライブカメラであれば、12Vで作動させられ、据え置いてしまえば車両を交番代わりにもできます。

←写真は電波式ピンホールカメラ


飯舘村、防犯パトロール始動「自分の手で守る」

 産経新聞 2011/06/06 12:44更新

福島第1原発事故で全域が計画的避難区域に指定された福島県飯舘村で6日、村外に避難した住民らが留守宅などをパトロールする「いいたて全村見守り隊」の出発式があり、村の臨時職員として採用された隊員らが車で巡回を始めた。

 

出発式で同県猪苗代町に避難している細山利文さん(62)が「泥棒や空き巣、犯罪者を寄せつけないようにします」と宣誓した。

 

隊員は農家や酪農家など約350人で、うち約120人が緑色の腕章、そろいのオレンジ色のベスト姿で出発式に参加した。

 

村によると、全人口約6200人の約8割が既に避難。住民の間で避難後の防犯対策を求める声が強く、雇用の確保も兼ねて組織化。各地の避難先から村に通い、一日3交代制で24時間、村を巡回する。日当は7千円。

 

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土地の事を良く知る方々の強みですね。地元の人?もわかれば、町名地番も言える。そして何より「経済巻き込み型」で運営・運用するのが良いですね。

 

ボランティアとして行ってしまうと、延々と地元経済が回りませんし、ボランティアが引き揚げた後には、急に負担が増してしまいます。上記の様に、スタートから地元民の雇用を抱合せられると長く続けていけますね。

 

しかし反面、予算の出せない自治体も出てくるでしょうし、住民数も影響します。必要となる項目に割り当てられる細分予算も必要ですね。カバーするのに手っ取り早いのは「ふるさと納税」でしょう。


☆「被災者個人」を「被災者」と認識できるか?

被災地域に親類や知人が居るならまだしも、あても無く全国向けに個人コメントを発信しても、ピックアップはされにくいでしょう。

わたしなら信憑性を高める為に、住所や本名を名乗ろうとします。

所在を確認するにも時間がかかるのは分かっていますので、ヘルプを出す側にもそれなりの在籍を証す必要もあるでしょう。

 

発生直後であれば、藁をもすがる思いで姿を現す事になるでしょうから、そこは人間心理を上手く利用し、信憑性を高める事ですね。

☆「ボランティア活動者」の身元の確認

ボランティア=個人である事を忘れてはなりません。

個人の人道的行為をボランティアと言われるわけで、その個人の身分確立は誰も行えないのです。その為、ボランティアは法で縛りつける事が出来ないのですよね。

 

これではいつまで経っても「身分確立」「在籍証明」へ向かって行けませんよね。そこで、民間防災では、ボランティアを行いたい方を事前に集めておき、自分にできる事を表面化してもらいます。これを「旗揚げ(タイトル)」といい、活動枠の標示に用います。この標示を民間防災の手段を持って公開すれば、ここで一つの確認が行えます。

 

これだけではチームに属する方々は表面化していません。

ここで、集まる個人へのカラダに対する「身分証」が必要となり、チームのHPにもスタッフ名と顔写真を公開しておきます。

「身分証」は複製が出来ない物が必要です。また、この身分証を持つ者は誰?も確立しておかなければなりません。

ここまでしておいて、確認が確証に持って行けるのですね。