☆電気事故につながる街路樹と電線の関係


歩道と車道の狭間に街路樹を植えているが、なぜか同じ面に電信柱があり、電線を張巡らされている。

冬季に多いのが木の枝と電線が擦れあい、電線の被膜を損傷させ火花が 散る事故。

■事例1(参考写真)

☆街路樹と道路標識

枝葉が延び過ぎて、道路標識が隠れてしまう。さらには、木陰に人も隠れてしまう。

■事例2(参考写真)

☆電 線

中高層建物周辺に電線があると、はしご車や屈折車、高所作業車の邪魔になってしまう!

 


金沢市の無電柱化 景観向上、コスト削減 厳しい財政、施策優先順位考慮も /石川

毎日新聞2012年4月16日(月)13時45分配信

 加賀百万石の栄華を今に伝える景観の質を高めようと、金沢市が旧城下町を中心に電柱を撤去し、街路の無電柱化を進めている。コスト削減を狙って撤去する場所を選定したり、電線地中化にこだわらず、建物の軒下に配線するなど、街並みに合わせた工法を採用する「金沢方式」で行っている。全国の自治体関係者から注目され、視察が相次いでいるという。【宮本翔平】

 

 金沢市は、1968年に伝統的な景観を保存するための条例を国内で初めて制定するなど、景観保全の施策を進めてきた。無電柱化による景観の向上は、14年度末までの北陸新幹線開業に備えた観光振興策でもある。

 

 市は08年度、学識経験者のほか国、県の担当者や電線を管理する企業、地域住民らで検討委員会を発足。当時、約20年をかけて金沢城を中心とした旧城下町の市道計14・5キロで無電柱化が完了していた。検討委は09年度からさらに市道計13・2キロでの整備を決めた。

 

◆先進的な“金沢方式”

 電線を地中に埋設する一般的な整備方法では、地中に電線を通すほか、地上にも変圧器を設置しなければならない。

 

 この工法では、金沢市内の伝統的な街並みでみられるように、道幅が狭く、歩道のない道路が障壁となる。歩道があると機器を設置する場所を取りやすいが、歩道がない場合は難しい。

 

 そこで、多くの地域で電線を地中に通さないで建物の軒下や壁面に電線を配線する方法を採用。さらに無電柱化したい道路の裏通りや脇道から、電線を配線する方法もある。こうした方法だと、地上に機器を設置しなくても済むようになる。地中化よりも手間が省けるため、工費も削減できる。

 

 また、市は10年10月、NTT西日本金沢支店などの企業と協定を締結。既に同社が地中に埋設した通信管路に電線を通す工法を採用し、1カ所で整備を進めた。この工法だと費用は通常の約10分の1という。

 

 このように、道路や街並みの状況に応じ、異なる整備方法を採用したり、コスト低減の工法を組み合わせるのが「金沢方式」だ。「全国でも先進的」(市無電柱化推進室)といい、全国から10弱の自治体関係者、地方議員が毎年、視察に訪れるという。

 

◆山野市長、市内の無電柱化推進を約束

 金沢市木倉町で13日、同町商店街が無電柱化工事の完成式典を開いた。南光裕・木倉町商店街会長は「木倉町では電柱11本を撤去し、景観は古くからの街並みに近づいた。景観の向上を、市中心部の活性化につなげてほしい」と期待を込めた。

 

 一方、山野之義・金沢市長は「景観がすっきりとしただけでなく歩行者や自転車が通りやすくなった。国や県も無電柱化を推進している。多くの人が訪れる『金沢の顔』として精力的に整備したい」と語った。

 

 しかし“金沢方式”でも費用負担はゼロではない。経済情勢の悪化で税収が伸びず、市財政も厳しい。09年度の計画時から、昨年度末までに無電柱化工事が完了したのは計220メートルにとどまる。

 

 市無電柱化推進室は「施策の優先順位も考慮する必要があり、いつ、無電柱化が完成するかというめどは立っていない」と話す。限られた予算では整備場所の選定などに工夫がいる。「金沢の顔」だけに、市の手腕が問われる。

2012年4月16日朝刊(毎日新聞)